古風な会社

id:yuichi_katahira さんが以前にうちの会社の仕事をした時に、 会社の感想を聞いた所、「ラビックスは古風な会社だ」と言われて、なるほどと思いました。 まあ、もう12年が過ぎようとしているので、実際に古いのですが。。。

おそらく、ラビックスはITベンチャーとは遠い存在なんだと思います。 どこが古風なのかというといくつかあります。

  • スーツで出勤
  • 完全に年功序列ではないけど、仕事ができれば若くても給料が大きくなるということはない
  • 飲み会は会社の負担で、できれば全員参加
  • 社員が一箇所に集まって仕事をするというスタイルがいいと思っている(アンチノマド
  • ゆるやかな成長しながら会社の継続を重視した経営方針
  • 給料は大きくはあがることはないが、ゆっくりあがっていく
  • 賞与はベースが決まっているが、利益が出た場合は還元する
  • 扶養手当がある
  • 他社や他人からの資本は受け入れず、私と数人の資本で経営する
  • 必要な資金がほしい時は銀行融資でカバーし、資本は受け入れない

スーツで出勤

私が起業した時は一人でした。 営業もしていたのでスーツで出勤していました。 3年目にはじめて社員を雇用した時、 社長がスーツだったので自分もということで、スーツでした。 そうやって、3人目もスーツで出勤していました。 というわけで、なんとなくラビックスは全員スーツになりました。 そんなに強くスーツにこだわりがあるわけではないのですが、 スーツって決まっているのは面倒ではないです。

年功序列のような給与

うちの会社は自社サービスと受託開発を半分ずつぐらいの割合でやっています。 どちらのサービスも、うちの経営方針とお客さんが何を考えているか。 既存のサービスはどのようなものであるのかをよく知っていないとこなせません。 うちが他の人に外注するのが極めて難しいのは、お客さんとの関係とか 既存のサービスに対する経験とかがとても大切だからです。 私も大切だと思っています。わかるまで最低1年かかります。 受託開発は新規はやっておらず、既存のお客さんからの受託がすべてです。 毎年同じお客さんから毎回違うシステムのオーダーが来ます。 技術も必要だけど、経験がとても重要です。技術だけでは売上になりません。 自然と、経験が豊富+技術が売上の源泉となります。 そうなると、年功序列に近くなってしまうんですね。

会社負担の全員参加の飲み会

会社で個人面談をあまりやっていないので、 飲み会で意見をぶつけ合います。 全員参加で会費は取るわけにはいかないので、創業以来ずーっと会社負担で飲み会をしています。 私が何を考えているか、ラビックスはどういう方向へ行くのかを語りますし、 スタッフが何を考えているのかを知るいい機会です。 とりあえず、飲み会は嫌だという意見は今までありません。 出たら考えます。でも、そういう人はうちに来ないほうがいいかもしれません。

アンチノマド

ノマドスタイルとか流行りましたが、私はFace to Faceを大切にしています。 動画で繋ぎっぱなしにして開発すると、結構いけてますけど、 仕事を終えて飲みに行くことはできない。 ノマドスタイルの仕事もいいかもしれないですが、 会社がノマドスタイルを許可するメリットって実はノマドスタイルを希望する人材の確保以外はないんですよね。

ゆっくり上がっていく給与と賞与

給与は地域の周りの会社よりはあると思いますが、東京のITベンチャーよりは大分安いです。 それでも給与は絶対に下げない。ゆっくりあがっていくというスタイルです。 賞与はベースは決まっていて、黒字が出たら還元します。 赤字でもベース以下には絶対に下げませんし、下げたことは一度もありません。 給与も下げたことはありません。もちろん未払いとかもやったことはありません。 震災後に累積赤字が1500万近くになってもスタッフに対する信用だと思って下げませんでした。 (ベースアップは据え置きましたが。) 地方において雇用の安定はとても重要だと考えています。 給与が上下したり、ボーナスが出なかったりすると安心して働けないじゃないですか。 なので、給与は上がる一方で、賞与はベースが決まっています。 賞与のベースは基本給なので、賞与のベースも上がる一方です。

扶養手当がある

いまどきのIT企業らしくないと思いますが、子どもに対しては扶養手当を出しています。 主婦に対しては出していません。その他の家族などの扶養は出てきたら仕組みを考えます。

出している理由としては、単純に子どもがいるとその分なんだかんだと支出が増えるので、 家計が苦しいだろうと思ってのことです。日本の税制とか社会保険の仕組みとかは 子どもに対しての扶養控除少なすぎると思っています。 子どもが1人いたら3万ぐらい月額給与から控除してあげてもいいんじゃないのかと思います。

ベンチャーではなく中小企業

何が違うかというと、出口戦略ですよね。 ベンチャーは他人から資本を入れて上場を目指すか、 もしくは他の会社に買収されるのを目指すか。

うちは上場する気はないし、他社から買収されて 株主である私のハッピーエンドを目指しているわけではないです。 地域に貢献する立派な中小企業を目指しています。 他社から買収されて人材と技術やプロダクトを東京に移転して福島支店を閉鎖とかいう話はよくあります。 うちはやりません。買収されてもスタッフが誰もうれしくないんですね。 株をスタッフに分け与えて出口を目指すという方法もありますが、 それよりは他社の資本を受け入れずに雇用の永続を希望しているようです。

さて、銀行に行くと、IT企業にほとんど融資を出していないことに気づきます。 IT企業は他社の資本を入れて資金を補うのが普通のやり方になってきていますね。 うちはそれをやりたくないので銀行から融資を受けています。

まとめ

  • ラビックスは中小企業であってベンチャーではありません
  • なので、ITベンチャーとスタイルが合わないことがいろいろああります
  • ラビックスはIT企業なのに古風な所がたくさんあります

いろいろと古風ではありますが、私はこのスタイルがいいと思って経営しています。